脱炭素化だけでは、ソフトウェアをグリーン化できない
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脱炭素化だけでは、ソフトウェアをグリーン化できない

炭素の排出は、ソフトウェアが気候に与える影響の中で重要な位置を占めています。生成型AIのような高エネルギーの作業負荷は、水を含む他の多くの資源も必要とします。エネルギー効率や、再生可能な資源へのシフトだけでは、AIによる環境への損害を消し去ることはできません。ChatGPTやその他の強力なAIの炭素コストを計算するのと同時に、ソフトウェア実践者は、これらの技術のウォーターフットプリントを考慮する必要があります。水は限りある資源で、すでに干ばつが発生している地域では、AIの水消費は特に懸念されます。

カリフォルニア大学リバーサイド校とテキサス大学アーリントン校の研究者が、AIのウォーターフットプリントを検証した論文を書きました。彼らは、「世界的な水の課題に対応するために、AIモデルは社会的責任を負い、自らのウォーターフットプリントに対処することで模範を示すことができ、またそうすべき」と主張しています。 主席研究員のShaolei Ren氏はインタビューの中で、「マイクロソフトの最新鋭の米国データセンターでGPT-3をトレーニングすると、70万リットルの清浄な真水を直接消費し(BMW車370台分、またはテスラ電気自動車320台分)、もしアジアのマイクロソフトのデータセンターでトレーニングすると、水の消費量は3倍になっていた」と語っています。これらの数字には、発電に伴う現地外のウォーターフットプリントは含まれていません」。

Ren氏は、炭素効率と水効率間の対立に関する重要なポイントを提起しています。炭素効率と水効率が良い一日の時間帯が相反する可能性があるため、開発者は、モデルトレーニングを特定の時間帯や特定の場所で計画することの影響を考慮し、オプションを慎重に検討する必要があります。Ren氏は、会議会場や出版物が研究者にAIトレーニングの炭素コストの開示を求めるのと同じように、研究者は、自身の研究の水コストを計算し、開示する必要があると提案しています。

ICT産業のウォーターフットプリントは既知の問題です。清浄な真水は、データセンターのサーバーを動かすための発電に使われ、サーバーの冷却にも使われます。マイクロソフトアマゾン、およびその他の企業は、データセンターが水に与える影響を軽減することをすでに約束しています。こうした努力にもかかわらず、干ばつの年だった2021年、オランダの地元記者が、マイクロソフトのデータセンターは、同社が主張するよりもはるかに多くの飲料水を消費しているとし、マイクロソフトが計算した1200万リットルから2000万リットルの間ではなく、合計8400万リットルの水を消費していることを突き止めました。

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