ソフトウェアとICTのグリーン化には、オープンソースソリューションが欠かせない
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ソフトウェアとICTのグリーン化には、オープンソースソリューションが欠かせない

Green Software Foundationは、脱炭素化のためのオープンソースアプローチに取り組んでいます。例えば、Green Software Patternsは、ソフトウェア実践者が排出量を削減できるようにする、ソフトウェアパターンのオンライン・オープンソース・データベースであり、オープンソースのCarbon Aware SDKは、最も環境に優しいエネルギー源を使用するためのインテリジェンスを備えたカーボンアウェア・ソフトウェアソリューションの構築を支援します。より環境に優しいアプリケーションを構築するための知識を持った人々のエコシステムを構築するためには、このようなリソースが必要です。

Cloud Carbon Footprintは、脱炭素化への取り組みの迅速性と品質に影響を与えるオープンソースツールの一例です。このツールは、ソフトウェア実践者が、自身のクラウドの二酸化炭素排出量を測定、監視、削減することを支援し、企業に対して、ビジネスの各レベルで環境に配慮した意思決定を行うために必要なデータを提供します。その他の例として、エネルギー消費量計測エージェントのScaphandre、排出量を追跡するPythonパッケージのCodeCarbonなどがあります。

LF Energyのエグゼクティブ・ディレクター、Shuli Goodman氏(故人)が2022年12月の記事で述べているように、1社だけでは気候変動を緩和するために必要な技術を構築することはできず、専有ソフトウェアに対する従来のブラックボックス的アプローチは、この重要な時期に進歩や革新を阻害してしまいます。LF Energyがカリフォルニア州で行った、オープンソースのOpenEEmeterプロジェクトは、同州におけるエネルギー効率化の影響の算出に貢献しました。他の州政府も、現在では同じコードベースと方法論を適用できるようになりました。

SOGS調査の回答者の中には、オープンソースソフトウェアの重要性を強調する人もいました。また、「オープンソースソフトウェアの利用は、各社がソフトウェアを構築する際のエネルギーを節約するのに役立つので、重視すべき」という意見もありました。 また、Green Web Foundationなどの報告書では、気候変動に対するオープンソースやコミュニティベースのソリューションにもっと注目する必要があることも強調しています。

オープンソースツールとオープンアクセス研究は、グリーンソフトウェアの原則を世界規模で公平にし、ソフトウェアの炭素強度や影響を低減できるツールやグリーンソフトウェアパターンの適用を加速するための重要な要素です。Carbon Briefが、気候変動の物理科学的根拠に関する2021年のIPCC報告書を分析したところ、引用された研究の99.95%が英語であり、大多数がペイウォール(有料コンテンツ)の中にあることが分かりました。ICT産業に付随する排出量を削減するには、世界規模の協調的取り組みが必要です。オープンソースソフトウェアでは、ソースコードが公開されており、ソフトウェア技術者であれば誰でも閲覧・修正することができます。つまり、開発者のグローバルコミュニティが協力して、潜在的な問題を特定・修正し、グリーンソフトウェアパターンを迅速に改善できるのです。アルゴンヌ国立研究所のEarth Model Column Collaboratoryは、より正確な気候モデルや気象予測を作成するためのオープンソース研究プラットフォームです。オープンソースの研究とツールは、脱炭素化を公平な世界規模の取り組みとして確立する上で役立ちます。

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