ソフトウェアの法整備は、この10年で4倍になった
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ソフトウェアの法整備は、この10年で4倍になった

ソフトウェアに特化した法規制の普及率は、この10年で4倍になり、2021年には、40%の国が何らかの法規制を導入していると言われています。欧州、アフリカ、アジア、および太平洋地域からなるこれらの国のうち、ほぼ3分の1が環境規制に関する具体的な規定を設けています。.

そして、この傾向はさらに強まりそうです。 2022年の世界電気通信開発会議では、127か国の政府が国連安全保障理事会決議66に合意し、「自国のICT計画に、環境に関する指標、条件、および基準を取り入れる」ことを公約しました。 環境規制は、グリーンビジネスの生産性と革新性にとって有益であるという研究結果が出ています。このように、サステナビリティに関する規制が増えることで、グリーンソフトウェアの革新性ならびに採用が大幅に拡大することが予想されます。

特に欧州は、規制の協議事項をリードしており、データプライバシーの場合と同様に、デジタルエミッションに関する世界の規制状況に影響を与えようとしています。欧州委員会(EU)は、次のように述べています。「今後10年間、欧州はグリーンおよびデジタル目標を達成するために、既存の法律を更新し、新しい措置を導入する。またEUは、民間セクターがクライメイトニュートラル(気候中立)になり、より多くの再生可能資源を使用できるように、自主的および義務的措置を検討している」。 欧州議会では、緑の党がデジタルエミッション規制を重要な議題としており一方EUの外交政策機関であるEUISS(欧州安全保障研究所)は、グローバルスタンダードに影響を与えるという明確な目標を掲げ、グリーンデジタル化の分野での規制拡大を求めています。

フランスでは、独自のグリーンソフトウェア法の展開が始まっています。Réduire l’Empreinte Environnementale du Numérique(デジタル環境のフットプリント削減)法案は2023~2024年に施行され、デジタルエミッションの開示義務、グリーンソフトウェアカリキュラム、ソフトウェアに起因するハードウェア無力化の防止、および人口5万人以上のすべての自治体における地域グリーンソフトウェア戦略の法令義務などが定められています。これは、フランスにおいて、グリーンソフトウェアに関する規制状況が着実に拡大していることを反映しています。

しかし、この傾向は欧州以外にも存在します。米国では、証券取引委員会 が「気候関連の財務リスクや財務諸表における気候関連の財務指標に関する特定の情報を含め、登録者が有価証券届出書や年次報告書で気候関連の情報を提供することを義務付ける」という規則を提案しています。これには、スコープ2および3のデジタルエミッションの開示が含まれると思われます。最終的な開示の内容は未定です。一部の業界の抵抗もあり、当初期待したほど強力ではないかもしれませんが、進むべき方向性は間違いないでしょう。同様に、バイデン大統領の「責任あるデジタル資産に関する大統領令 14067」は、米国が「デジタル資産技術とデジタル決済エコシステムを、気候への悪影響と環境汚染を低減する責任ある方法で、確実に開発、設計、および実装する」と公約しています。

中国では、環境保護目標責任制度により、省エネルギーや排出量削減の目標が政府関係者の業績評価とリンクするようになり、進展が見られています。

このような、デジタルエミッションを対象とした規制措置の流れは、一般的なレベルでも、また主要産業のニッチ分野でも見られるものです。AI分野では、OECDが、機械学習による環境への影響について「広く普及させる要件、または報告義務要件」を提唱し、「規制、基準、および政策(税制を含む)」を明示的に求めています。 また、ブロックチェーンセクターでは、環境に配慮したブロックチェーンを公約する米国大統領令14067により規制が導入され、「分散型台帳技術と短・中・長期の経済およびエネルギー移行との結び付き」を確立するための迅速な準備作業が義務付けられました。

このような開発背景から、今後10年間、グローバルな法制度や規制、および報告領域において、グリーンソフトウェアがますます普及すると予想されます。

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